一歩の写真散歩

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2008年 08月 05日

クライマーズ・ハイ

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-出版:文藝春秋-

ランナーズ・ハイと並び時折り耳にする言葉である。興奮状態が極限まで達して麻痺し恐怖や肉体の疲労を一切感じなくなる状態を言うらしい。 

1985年夏、520名の犠牲者を出した史上最大の航空機事故は国内で起こったこともあり当時のニュース映像と御巣鷹山の名と共に鮮烈に

記憶している。

特に奇跡的に助かった4名、中でも少女が自衛隊員に抱えられてヘリコプターで吊り上げられて行くシーンは奇跡的な生存の感動と生死を

分けたものへの畏敬の念からか知らずと涙がこみあげてきたのを記憶している。恐らく忘れることはないであろう。

本書はこの未曾有の事故報道の裏側を舞台とした横山秀夫氏の渾身の作品である。


著者自身が事故当時、墜落現場となった群馬県内のとある新聞社の記者であったことが書く動機であろうがそれ故にリアリティのある秀作に

仕上っている。

事故の全権デスクを任された主人公を中心に記者が必死で取材した記事が紙面に載るまであるいは握りつぶされる過程がリアルに描かれて

おり興味深い。

地元大物政治家の存在・社内派閥・保身・妬み・記者としての使命感と挫折、それに登場人物達に秘められた過去も交錯し事故後17年経過

した日々と重層的に展開して行く。


新聞に限らず偏向報道が目に余る昨今、報道に携わる者は今一度誰の為の報道か、その原点に立ち返って貰いたいと強く感じた一冊

であった。発信する側もそれを受ける側も一読に値すると秀作である。

折りしも事故のあった時節でもあり、この夏一押しの一冊である。タイトルのネーミングの意味は・・・止めておきましょう。^^


by ippoippoiku | 2008-08-05 10:00 | books | Comments(0)


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